
人生の方向性を指し示す「美意識のコンパス」を養う
私たちは普段、出会う人や取り入れる情報によって様々な刺激を受けています。
日々取り入れる情報量が膨大すぎるため、自分にとって必要な情報を選りすぐることが難しくなっています。
様々な角度から語られるメッセージに良い刺激を受けつつも、自分が「どう生きたいか」を考える大事な余白を、情報過多によって奪われがちです。
多くの「正解」のパターンからヒントを得て学ぶことはできますが、その中に自分にとっての「正解」があるわけではありません。情報によって得るものは、本来「刺激」であるべきで、「答え」ではないということを理解する必要があります。
自分で考える力が落ちてしまっては、情報を得ることが逆効果になってしまいます。
自分の人生について「自分で考える」という力が落ちている人をよく見かけます。
一見自分で考えているようで、誰かのアドバイスやアイデアを求め、それらの方向に進むことで「自分らしい生き方」にたどり着くと錯覚しています。

アドバイスは、自分にはない「観点」を得るものであり、自分自身を客観視したり俯瞰したり、時系列で捉えたり、周囲の人や社会との関係性を理解するために役立てるものです。
自分自身が「どう生きたいか」という自発性がなければ、他者から受け取るアドバイスも観点も、人生を翻弄するものにしかなりません。
情報収集も同じで、自分自身が「どう生きたいか」ということと、「何を目的にするのか」ということが明確でなければ、取り入れるほど翻弄されることになります。
自分に正直に生きるための感度であり、自分の求める生き方や悦びを感じ続けるチカラである「自分のコンパス」がなければ、人生を切り開くことはできません。
人生は誰かのつくった道の上を歩くことでも、誰かのつくった場所を居場所にすることでもなく、道のないところを歩き進めて自ら道をつくっていくことであり、自分が生きる場所を自ら創造することです。
そうでない限り、いくら居心地の好さを感じることができても、心からの満足と幸せ、生きている意味を感じることはできません。

さて、この「自分のコンパス」ですが、どうすれば持つことができるのでしょうか。
吸引力やカリスマ性の強い誰かの磁力にグイグイ引っ張られ、誰かにとって正解とも言える生き方に、必要以上に影響されて「自分のコンパス」が狂ってしまわないように、自分に正直であるという感度をどう保てば良いのか考える必要があります。
「自分のコンパス」は別の言葉で表現すると、「美意識のコンパス」です。
「何を美しいと感じるのか?」その感覚を研ぎ澄ませ、自分の感度を高めることでしか、幸福感や生きがいを感じる人生を実現することはできません。
美意識を育てることで、情報や環境や時代の変化にさえ振り回されない核を持つことができます。
何を美しいと感じるのか、何をかっこいいと感じるのか、
何を見て癒され、何を感じて心奪われるのか。
心の底から惹かれるもの、心が透明になるもの、
心に風がすり抜けて自由を感じ、生きていることが楽しくなる感覚はどのようなものか。
どんな景色を見た時、どんなアートに触れた時、どんな人と接した時、
そこに美しさを感じるのか。
そんな美しいと感じるものこそ、人生を創造する際に核となる「自分のコンパス」です。

そのコンパスが反応しないものを選択して成功を収めたとしても、あなたは幸せを感じることも、生きているという喜びも感じることはできません。
現代において求められる資質は、
「他者が認める生き方」に適応することではなく、
「自分の美意識」を追求すること
で新しい価値観を社会に提供することです。
仕事やクリエイティブな活動、生き方のすべてにおいて「美意識のコンパス」を養い従うようにしてください。
あなたにしかない独自の世界観が際立ち、自分らしく生きることが「価値」として育っていきます。
一人ひとりが小さなことからでも、自分の「美意識のコンパス」に従った一歩を踏み出す。
自分が美しいと思う感覚を何よりも大事にし、美しいと感じる生き方を創造していってください。